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戦場をかける猿という風刺 [人間とは何か]

猿のは臭(くせ)え。

なにが臭いのかは知らなかったが、

当時映画「猿の惑星」がシリーズ

になってからは、そういうジョーク

が巷を流れた。古い話だ。

浅く、流すように始めは始めたい。

友人のメールで「猿の惑星」の文字

を見たので、懐かしく思った。

このSFは大ヒットした。1968年に

映画化されたのだから、僕は親離れ

していたはずだが、思い違いか、親

父に連れられて映画を観たように

記憶している。50年以上前ではな

いか。

あの往年のフランク・シナトラが

と言っても知らないか、「マイウェイ」

をロサンゼルスで録音した当時で、

世界はビートルズ旋風が起きていた

頃だ。

もう帰ってこない時代よ!、とか

感傷を気取っても、ロマンな気分は

今も十分に還ってきている。

自分を思い出そう。あの頃に自分は

どこでどう生きていたのだろう。

だが、実際はたかが青二才だ、知っ

てどうする。何も変わらない。

あるのは、この気分だけだ。

自分の道を生きようとしたじゃな

いか、頑張ってみようとしたじゃ

ないか、と。当時はまだそういう

雰囲気があった。

1964年には東京オリンピックが

あった。この前年には、ベトナム

戦争を拡大させたJ・F・ケネディ

大統領が暗殺された。

ケネディは枯葉剤を散布するのを

許可して批判されたのでも有名だ。

枯葉剤は8万6000リットルも散布

されたらしい。マラリア予防とい

う名目だったが、農作物を根絶やし

にしてゲリラの補給を断つ目的だっ

た。そのため後に奇形障害や遺伝

障害やがんなどの後遺症に苦しむ

ベトナム人民は15万人に上った。


ケネディ政権下の国防長官はマク

ラマナだった。IQ値が高く、「測定

出来ないものは管理できない」と

いうビジネスの法則も用いる戦略家

(素人?)で、ベトナム戦争をアメ

リカの敗北に導いた。

片や、北ベトナムではホー・チ・

ミンがいた。彼が建国の父と呼ば

れ、第一次インドシナ戦争では

独立に向けて強力にリーダーシップ

を発揮したが、ベトナム戦争では

軍事権を将軍?に握られ、ラジオ

で国民に毎日士気を鼓舞して、

人民の士気を高め続けた。精神的

な支えとなり、戦争の指揮はしな

かったが、人気が高かった。

米兵はそれで誰が敵かわからなく

なった。子供が持ってくる食べ物

でさえ爆弾であることが多かった。

米兵は疑心暗鬼になり、ゲリラが

村に紛れ込むと、その村民ごと

一つの村を焼いてしまうという

大量虐殺にも出た。

村人に大事な戦友である仲間や

一人前に育てた若い米兵を殺され

た米兵の上官は手段を選ばなかっ

た。

米兵は怖かっただろうが、子供を

送る親もいたのだから、子供が

途中で爆死してしまう可能性だ

ってあっただろう。それでも戦争

協力をしたのはそれだけ気持ちが

ホー・チ・ミンで団結していたの

だろう。

IQの理論家マクラマナ長官が負け

たのは、その人民の底知れない

士気の高さだったのだ。子供も

親も勝つことだけに集中していた。


「猿の惑星」はその衝撃的なラスト

シーンで内容も併せて、僕らの常識

を打ち破り、なにかを教えた。

ラストで宇宙飛行士の生き残りは

ここが人類が滅んだ地球であること、

他所の星ではなく地球に還ってきた

ことをを思い知らされる。それは

海岸に沈んだ自由の女神の半身が

傾いた姿によってであった。

猿の惑星.png

この圧巻のシーンは原作とは異なり、

脚本をまかされたロッド・サーリング

が冷戦の要素を加え、猿の惑星の正体

は核戦争で荒廃した未来の地球、と

結末を変えた。後に「戦場にかける橋」

の脚本を担当したマイケル・ウィルソン

は冷戦の要素とエンディングシーンは

サーリングのまま残した。

監督はフランクリン・J・シャフナー

は宣教師の父のもとに生まれ、16歳

まで東京で過ごしている人で、後に

晩年には全米監督協会の会長を務め

た。

この映画は成功したが、その原作を

書いた当初も本の成功は期待もして

いなかったのが作者のピエール・

ブールだった。だが、ベストセラー

になった。

猿の惑星の映画のひとつ前のピエール・

ブールの原作で映画になった作品が

「戦場にかける橋」である。

内容は第二次大戦のタイで物資補給

の鉄道のためにクワイ河に橋を架け

るための捕虜英兵・仏と収容所の

日本兵とのプライドと葛藤を描いて

いる。

それを観たのだろう、親父はそれぞれ

の国の国民性・気質がよく描かれて

いる風なことを言っていた。

猿の惑星は支配者と奴隷の関係が

人間と猿(動物)との関係で逆転し

てしまうことで、人間とは何か、を

描こうとしている。だが、ここまで

に明らかに「戦場にかける橋」の

テーマである人種差別などを超えて

来たので、その元のレベルを書こう

としたのかもしれない。

猿の惑星はシリーズになり、最近

リバイバルでリメイクされたので

知っている人も多いが、戦場にかけ

る橋は、さすがに知らないだろう。

原作本を購入したので、それを

読んでからはたしてブールの

捕虜時代の感情はどういうもの

だったかなど考察を加えてみたい。

かなり、後に遅れるが次回に:-
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